《 当院の治療プログラムについて 》

ーその内容と優先順位−

 出席するよう決められている治療プログラムには、全て出席するよう心がけてください。特に、主治医の指示がなく、治療プログラムの時間が重なる時は優先順位に従い出席してください。以下、治療プログラムの内容と優先順位について説明します。

1、個人精神療法

 a.主治医による回診(精神療法・薬物療法) 週1〜2回、定期的に行われるチームスタッフ(看護スタッフ、精神科ソーシャルワーカー、作業療法士、臨床心理士など)を交えた主治医による診察です。そこでは、状態に合わせた精神療法的なアドバイスが行われるほか、検査の結果や治療プログラムの進み具合に基づいた説明、さらには家族の調整や薬物の変更や処置や検査の指示が出されたり、治療プログラムの変更、外出や外泊、さらには退院の決定などが行われます。場合によっては、主治医の判断により責任レベル(行動範囲と条件)が変更されることもあります。

 b.個人精神療法 当院の通常の治療プログラムだけでは治療の進展が期待できず、本格的な個人精神療法が必要と判断された患者さんに対しては、専門の精神科医や臨床心理士による個人精神療法が提供されます。

2、家族療法

 患者さんによっては、家族全体の抱えている問題が大きく、解決には他の家族メンバーの治療参加が不可欠な場合があります。そのような場合は家族療法が勧められます。

3、 集団精神療法(各種ミーティング)

a.朝の集い

 毎朝検温・検脈後、デイルームにて行う集団活動の一つです。その日のスケジュールやその他の連絡事項を伝達します。 また、責任レベルが「病棟内」の患者さんについて確認をし、入退院や病棟への転入・転出があれば、その患者さんの紹介をします。 さらに、毎週月曜日には責任レベル(自分の言動にどれだけ責任が持てるかで決められる行動範囲と条件)および服薬の自己管理レベル(自分の服薬にどれほど責任が持てるかで決められる条件と日数)の変更者の発表をします。

b.患者・スタッフ(P・S)ミーティング

 病棟の全患者さんを同室者あるいは主治医を中心に4〜5班(10名程)に分け、毎週1回、定期的に1時間、スタッフ(病棟医長、看護スタッフ、精神科ソーシャルワーカー、作業療法士、臨床心理士、担当薬剤師)と次のようなテーマに沿って報告し、討論するものです。

(1)「責任レベル(行動範囲と条件)」について守られているか、利用できているか。

(2)「服薬の自己管理レベル」について守られているか。

(3)治療プログラムの参加状況について

(4)治療の進み具合について

(5)現在の問題点について

さらに,自殺や離院のおそれのある患者さんについては,

(6)「自殺・離院予防レベル」について

 以上のテーマについて、まず一人ずつ自分を振り返りながら報告し、それに関する意見交換をします。全員が報告し終わったところで、「責任レベル」もしくは「服薬自己管理レベル」の変更を希望する患者さんが、その理由とともに申し出ます。変更が可能・適切かどうかについては、参加者全員で討議し、主治医を交えたその後のスタッフミーティングでさらに吟味し、決定されます。変更された「責任レベル」「服薬自己管理レベル」は、翌週の月曜日から施行されます。 また、時には患者さんの許可と守秘義務を確認の上、家族に参加してもらうこともあります。

c.病棟コミュニティーミーティング

 それぞれの病棟の全患者さんとスタッフがひとつの治療的集団としてコミュニケーション(交流)を発展させるための集いです。皆が関心を抱く治療上重要な問題を討論し、それについての解決策を話し合うために開かれます。

d.新入院患者さんのためのミーティング

 これは入院後6週間の間、全てに不案内な新入院患者さんのために週1回開かれる、いわゆる案内のためのミーティングです。入院してから感じる不安、とまどい、あるいは困ったことなど、入院生活に関するどんな疑問についても話し合うことができます。 そうした問題を“先輩”の患者さんのアドバイスをもとに考えていこうというものです。そのための手引き書として、『入院治療必携』をご持参ください。

e.社会復帰フォーラム

(1)生活編

 長期入院患者を対象とした社会復帰のための大集団精神療法です。長期入院治療を経験し、既に一人暮らしを始めたり、共同住居などに住むなどして社会復帰している方々を囲んで、金魚鉢討論会の形式で行われるミーティングです。これから退院して社会で生活していこうというときに直面する様々な問題や不安について話し合うことで地域での生活を支援していきます。

(2)就労編

 現在、入院や外来治療をしている方で、職業リハビリテーションプログラムを利用している方、アルバイトをしたり、今から探そうと考えている人と共に「働きながら暮らす」ことや「働く事の不安や焦り」など、仕事に関するあらゆる悩みや相談について皆さんの経験をもとに、就労について考えていくものです。

f. 専門治療グループ

 病棟ごとに行われる集団精神療法、作業療法などを“縦糸”に例えるとすれば、新入院患者さんのためのミーティングと社会復帰フォーラム、それにこの専門治療グループが“横糸”に当たる集団精神療法です。 それぞれのグルプは、症状や疾患、同じ立場、同じ悩みをもつ人々の集まりを基本的な単位としており、本人の希望と主治医の方針などによってグループへの参加が決まります。原則として、ミーティングの担当者が予備面接を行います。

(1)心理教育ミーティング

 「心理教育」という言葉は「精神科のリハビリテーションに役立つ教育や訓練」というような意味で用いられます。ここでは、『心の病を知るABC』『薬物治療のABC』などのテキストを用い、患者さんが病気の種類やその症状、治療法などについて学びます。また、薬についての効果や副作用についても学びます。それだけでなく、診察の中ではどのようなことを聞いたらよいかなど、精神科の治療の受け方そのものをミーティングの中で考えるようにしています。参加メンバーについては、主治医の推薦が必要です。希望の方は主治医にご相談ください。また、このミーティングに参加することになった方は、終了まで必ず毎回参加してください。

(2)D(うつ病)グループ

 うつ病、もしくは抑うつの状態を経験し、現在も抑うつ的になりやすいなどうつの症状で苦しんでいる方のためのミーティングです。それぞれの気持ちの変化、うつになったきっかけなどを聞きながらよりよい回復に向けて話し合い、今後のうつの予防などを考えていこうというグループです。狭くとらわれた考えなど、うつを生み出しやすい認知のあり方に目を向ける方法(認知療法)も取り入れながら進めています。

(3) アルコールミーティング

 アルコール依存症の患者さんやご家族のために、週2回開かれるミーティングです。3カ月間でアルコール依存症についての正しい知識をひと通り得ることができるようにプログラムを組んでいます。そして、アルコールに逃げざるを得なかった以前の自分を仲間と共に振り返り、いかにすればアルコールなしの、ありのままの自分を受け入れることができるのか考えていきます。また、本人だけでなく、ご家族にも参加していただき、それぞれの立場から見たこの病気のことも考えていきます。 さらに、自助グループ(断酒会、A.A.など)の方にメッセージを伝えていただくことで,この病気からの回復の意味をより確かなものにしていくことができるでしょう。

(4)アダルトチルドレン(AC)ミーティング

 ACとは、アルコール依存症の親をもった子どもたちに代表されるように、何らかの機能不全をきたしている家庭の中に育った子どもたちのことです。 ミーティングには、こうした家庭の中で居づらさを感じたり、自分を押し殺して言いたいことが言えない、評価されないと自分の存在価値が認められない等といった悩みを持つ人たちが参加しています。 このミーティングは毎週1回開かれており、3ヵ月間をひと区切りとしています。ミーティングの中で各自が思い思いのことを話し、それを仲間と共に分かち合っていきます。それによって過去に傷ついた体験を克服し、自分らしい自分を見いだすことができるようになっていくことを目指しています。

(5)摂食障害ミーティング

 食行動の問題(拒食、過食、嘔吐、下剤の乱用、チューイング等)や体型へのこだわりを持っている方々を対象に、週1回開かれているミーティングです。本やVTRを用いて摂食障害についての正しい知識を得たり、同じ悩みをもつ仲間に出会い、今までの生活について振り返る中で食物に頼らざるをえなかった自分を見つめていきます。そして、仲間の中でありのままの自分を受け入れ、食物や体型にとらわれた生活から解放されるように共に考えていきます。

(6)薬物ミーティング(薬物勉強会)

 治療目的で医師から処方された薬物以外の薬物(有機溶剤、覚醒剤、ブタンガス鎮痛剤等)を乱用するいわゆる薬物依存の問題を抱えている方々を対象に行なわれているミーティングです。薬物関連の本やVTRを用いて薬物依存についての正しい知識を学習したり、同じ悩みをかかえる仲間とわかち合うことで、ありのままの自分をみつめ、自分の中にある「やめたい気持ち」を伸ばしていきます。 また定期的に、自助グループ(NAなど)の方にメッセージを伝えていただき、より深く自分の回復について考えていきます。ただし、このミーティングは薬物常用中やその薬理作用が残っている期間は参加できません。また、法律で禁じられている薬物を使用した場合には、犯罪防止のため自ら司法・捜査機関に指導を受けに行って下さい。ご本人からのそうした協力が得られない場合には、ミーティングへの参加が中止されるだけでなく、当院での治療を継続することも困難になります。場合によっては病院から司法・捜査機関に通報することもあります。

(7)ウィメンズグループ

 過去に心や体に暴力被害を受け、それが心的外傷となっている女性のための精神力動的集団精神療法です。心の傷を持つ方々は、フラッシュバックを繰り返したり、自分の感情や衝動性をコントロールすることが難しいなど、いろいろな特徴があります。同じような体験を持つ仲間と共に自分達の理解を深め、よりよく生活を楽しむ事が出来るようになることを目指しています。

(8)のみもの依存症グループ

 多量の水分を取りがちで、それを自分でコントロールできないという方のグループです。水分摂取と体調の変化について学んだり、スタッフと共に具体的な目標や生活のスケジュールを計画したりしながら、自ら水分摂取量をコントロールできるようグループで共に支援しています。

(9)生活習慣改善グループ

普段の生活習慣が大きな原因と考えられ、肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化などのいわゆる生活習慣病に罹患している方、またはそのような疾患になるのでは、と心配している方を対称にしています。食事療法、運動療法を中心に学習や体験をしていきながら健康の維持や増進を目指すグループです。

4、作業療法(OT)

 月曜日から金曜日までの  9:30と、14:30〜16:30の時間枠で、作業療法プログラムが作業療法士によって準備されています。この作業療法は、同じ病棟の患者さんのみを対象にした病棟OTと、病院の全患者さんを対象にした中央OTの2つが同じ時間枠で行われているので、どちらかを選択して参加できるようになっています。作業療法士と相談しながら自分に適したプログラムに参加されることで、治療に役立ててください。

a.病棟OT(クリエイティブ・アート)

 “病棟OT”とは、同じ病棟の患者さんだけを対象にした集団作業療法です。(種目は部屋の中でできる手工芸、工作、裁縫や編み物、絵画、習字、ゲーム、パズル、読書、料理などです。)このように作業療法士が準備したものから自分が望む課題を選び、座りたい場所で好きなことをしながら参加できるようにしています。ただし賭け事はトラブルの原因になることが多いので禁止されています。(病棟OTの目標は、一人で部屋に引きこもる時間を少なくして生活リズムを整えることや、同じ病棟の仲間と時間と場を共有する、集中力を養う、自信をつける、趣味や楽しみを見つける、休息をうまく取るなど、参加する患者さんの病状や課題に応じてそれぞれことなります。)

b.中央OT

 “中央OT”とは、すべての病棟の患者さんを対象にした集団作業療法で、種目別に時間、場所が設定されています。患者さんの希望と治療上の効果を考慮したうえでメンバーが決定されています。活動種目としてはスポーツ、園芸、音楽、絵画など、年齢、性別、を考慮した種目を取り入れています。病棟OTと違い、他の病棟の患者さんとも交流することで、より社会に近い集団を体験すことになります。

C. 外来OT(クリエーティブアート)

1プログラム2時間(午前9:30~11:30、午後2:30~4:30)で患者さんの状態に適した作業療法プログラムを行います。外来作業療法の目的はデイケアなど長時間のプログラムには参加できない方に、2時間というプログラムの中で患者さんどうしの共有の場、および時間を持ったり、趣味を見つけたり、集中力を養うなど、参加される患者さんの病状や課題に応じて異なります。

5.デイ(ナイト)ケア

デイケア、デイナイトケア、ナイトケアでは様々なプログラムに参加し、社会復帰の準備を行います。社会生活を送っていく上で遭遇する様々な場面を想定した対処法(生活技能訓練)や病気の性質やその症状、治療法について学ぶ心理教育プログラムをはじめ、スポーツ、手工芸や絵画などの多彩なプログラムを用意しています。

デイ(ナイト)ケアの目的は以下のようなものがあげられます。

1. 社会生活での悩みや問題を抱えている人たちにくつろげる場所を提供し、利用者とスタッフで共に考える。

2.  日常生活のリズムは崩れ、健康的な生活が出来ない方に規則的な生活を体験してもらい、生活リズムを取り戻す。

3. 孤立しがちな方たちに話し合える場を提供し仲間作りをする。

4. 様々な活動に参加する機会を得て、自発性や興味を引き出し、社会的な役割のとり方の練習をする

5.  家族と共に病気についての理解を深め、利用者、家族、スタッフ共に協力して治療を行う

6.  就労支援プログラム、就労訓練に参加することにより就労を目指す

就学支援として学習グループに参加することにより、治療と並行して利用者の年齢に応じた学習の場を提供する。

6.職業リハビリテーションプログラム

外来リハビリテーションセンター、地域生活支援センター、授産施設が連携をとり、就労支援を実施しております。

a. 外来リハビリテーションセンター

「就労準備プログラム」を行っています。一般就労や通所授産施設を目指すために病気や薬、再発の注意サインなどを学習し、終了訓練を行うプログラムです。また、就労を課題とした就労準備プログラムのみならず、それ以外の場面で他のメンバーたちと共に過ごし、疲れを癒せる場の提供を行っています。

b. 地域生活支援センター

就労希望者に対する就労準備評価を実施しており、メンバーの障害受容の程度や、現在服用している薬に対する理解、再発の注意サインと対処法、働く目的などについて理解できているかをチェックします。また、メンバーが就労訓練に適応するための助言指導を行い外来リハビリテーション部、授産施設と情報交換などの橋渡しの役割を担います。

c. 通所授産施設 

レストラン業務喫茶営繕木工などの就労訓練の場を提供します。就労訓練を通して、就労場面では決して障害の姿を見せてはならないといた社会の厳しさを体験、訓練する場です。

7.訪問看護プログラム

入院中の方は、退院の準備として退院前訪問看護を行い、退院後の生活に備えます。退院後は、地域で生活する一人暮らしの方や家族と同居の方を対象に、看護士や精神保健福祉士が訪問し、生活上、治療上の相談援助及び生活支援を行っています。皆様の生活の場にて話を伺うことにより、より具体的なアドバイスが可能になります。

8.住居リハビリテーションプログラム

a. のぞえ希望の家 (グループホーム)

4人定員の共同住居です。長期入院を経験後、病院のデイナイトケアなどを利用しながら地域社会に根付き、自立・自活した生活をしています。

b. ヒルトップヴィラ野添 (援護寮・生活訓練施設)

回復途中にある患者さんに生活訓練の場として居室(2人部屋)、その他の施設を一定期間(2年以内)低料金で提供し、デイナイトケアプログラムや就労プログラムなどを利用しながら地域生活で必要な社会復帰を行っています。

c. ヒルサイドテラスのぞえ (福祉ホームB型)

デイナイトケアや就労プログラムを利用しながら、地域や家庭で生活できるように、一定期間居室(一人部屋)を提供し、地域生活に必要な支援を行っています。

d. 桜ヶ丘ハイツ・アイビーフラッツ (共同住居)

定員3名ほどの共同住居です。主に援護寮や福祉ホームB型で生活訓練を受けたメンバーがその後の地域生活の場として利用しています。デイナイトケアや就労プログラムを利用しながら地域で生活しています。

9、薬剤情報管理指導(DI)

 薬剤師は,主治医の回診、PSミーティング、卓上回診(チームスタッフミーティング)に参加したり、患者さんと面接することで、有効かつ安全な薬物療法を不安なく患者さんが確実に受けられるよう、インフォームドコンセントに基づき、病歴、薬歴、副作用歴を参考に、服薬指導を行います。

10、栄養管理指導

 入院や外来にて治療中の患者さんで、高血圧や高脂血症、糖尿病、肝炎などの合併症のある方に対しては、治療における食事の重要性について説明し、食事療法の必要性を知ってもらうよう指導・援助します。

《 治療プログラムの優先順位 》

 各治療プログラムは時間が重ならないように配慮されていますが、万一重なり、かつ主治医の特別な指示が出されていないときは、以下の優先順位で出席してください。

1 主治医による回診(小精神療法)

2 定時・臨時病棟コミュニティーミーティング

3 PSミーティング

4 個人精神療法

5 家族療法

6 新入院患者ミーティング 

7 専門治療グループ

8 薬剤情報管理指導

9 栄養管理指導

10 作業療法(中央OT>病棟OT)

11 朝の集い

◎面接、ミーティング等で作業療法(OT)を欠席する場合でも、必ず午前か午後いずれかの作業療法(OT)には必ず出席するようにしてください。

◎治療プログラム中の外出には、主治医の特別外出許可が必要です。

◎治療プログラム時間中の面会は原則としてお断りしています。

 以上、多くのミーティングがこの病院では行われています。個人および家族療法を除き、これらの患者さんの発言・活動内容については、その都度終了後に行われるスタッフミーティングにおいて討論され、治療や診断に役立てられます。